【映画】「トラペジウム」の個人的感想メモ

サブカル
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©2024「トラペジウム」製作委員会

2024/5/10(金) 全国公開の映画「トラペジウム」を3回ほど見てきたので、個人的な備忘録としてまとめていく。

・本記事は個人的な感想の備忘録です。あくまで参考程度にご覧ください。
・記事の内容には作品のネタバレを含みます。

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「トラペジウム」個人的感想

初見の感想

まず第一に、初見のあとの感想としては、

何かよく分からなかったし、盛り上がりどころを待っている間に終わっ

というのが正直なところだった。

ただ、その第一印象に反して、見終わったあとはなぜかすごくドキドキしたというか、とにかく今の自分の感情を書き出して整理したい気持ちになる作品でもあった。

そして2回目を見終わったあと、初回分も含めて一旦Twitterに感想をまとめた。

「つまらない」と書いてはいるが、今思うと前提として「どのようなジャンルの作品として見るべきか?」というところが初見では間違っていたように思える。最終的に、この作品は単純な「高校生の女の子(たち)が夢に向かって頑張る青春活劇」ではないと感じた。

そもそも、映画がオリジナルではなく小説が原作の作品なので、原作を読まずして「つまらない」という判断を下すのは無理な話かもしれない。

色々と矛盾したことを書いてしまったが、こんなに純粋じゃない気持ちで感想を書きたくなるのは久しぶりで、「よく分からん作品だったなー」だけで終わらずに色々と考えさせられる余白を感じ取れたところはよかった。

原作はいつか読みたいと思う。

全体を通して

まず初めに、OP主題歌はシンプルにめちゃくちゃよかった。

OPの演出の意味こそ後から知ったものの、全体を通してアニメーションがキャッチーで幻想的、かつカメラもグリグリと動いて躍動感もあり、それらの映像が星街すいせいの歌声とマッチしていて、全体的にレベルの高いOPだと感じた。

↑でも少し触れた通り、ストーリーの大枠としては「ある女子高生とその仲間たちがアイドルを目指す物語」というのが一番分かりやすい説明なのだが、イントロダクションの「夢に取りつかれた少女」「仲間にした」「高校生活をかけて追いかけた夢」などの表現からも分かる通り、いわゆる一般的な「アイドルもの」や「青春もの」とはベクトルが若干違っていて、アイドルを目指す上での "よりリアルな側面" が描かれた作品になっている。(と言いつつ、ストーリーの進行や結末自体はいかにもご都合主義的でそこが皮肉っぽくもある)

夢に取り憑かれた少女・東ゆう。
アイドルになるための計画を進める中で、ゆうは様々な困難にめぐり逢う。
そして東西南北の“輝く星たち”を仲間にしたゆうが、高校生活をかけて追いかけた夢の結末とは――

映画『トラペジウム』公式サイト | イントロダクション

キャラクター(おもに主人公の東ゆう)に対する1回目~3回目の視聴後の感情変化は以下の通り。

  • 1回目:「東ゆう、性格ク〇過ぎだろ…」
  • 2回目:「東ゆう、最初から本気で夢を追っかけてたんだな...これはちょっと推したくなるわ」
  • 3回目:「東ゆうが(一介の女子高生として)ストイックで努力家なのももちろんそうだけど、何より素晴らしい仲間たちに恵まれたからこそここまで来られたんだろうな、みんな推せる」

1回目の視聴後は「東ゆうほんとク〇やな」という感情が大部分を占めてしまったが、見れば見るほどその感情は薄まっていったというか、みんなが必死で頑張っていたということは少なからず伝わってきて、一周回って「シンプルにいい話だな」と思った感がある。

そしてツイートにも書いたが、ラストの「10年後のあなた」→「トラペジウム(タイトル描写)」→「方位自身(エンドロール)」のコンボは正直何のひねりもなかった...けどまあこういうの大好きだし、個人的にはラストシーンだけでも見る価値は十分あったように思う。

ちなみに、他の人の感想も知りたいということでTwitterで感想ツイートを漁ったり、感想記事をググってみたりしたが、自分の観測範囲の中でざっと見た限りだと「面白い」「つまらない」が結構きれいに二分した感じで、間違いなく人を選ぶ作品ではある。

劇中での脚本や演出については、他の人の考察や解説を見て腑に落ちた部分も結構あった。(おもにOPの演出やキャラクターたちの心情変化、東ゆうの他メンバーの分析など)

個人的に印象に残っているシーン

学校パート

東ゆうが通っている城州東高校における、いわゆる「学生としてのパート」は劇中2回ほどしか描かれなかった。

特に2回目の描写では、東西南北(仮)が解散し学校に戻ってきた東ゆうと、裏で陰口を叩いていたクラスメートが対峙するシーンなのだが、「裏で陰口叩いてんのは知ってんだよ」的な東ゆうの発言でさらっと十数秒で終わっていた。

初見では「え、それだけ?」と思ったのだが、よくよく考えると、東ゆうにとって学校での生活や人間関係なんてものはどうでもよく、ただ夢を現実のものとしたかっただけだった。

敢えて学校パートを詳しく描ききらないことで、「姑息ながらもそれ以上に真っすぐな努力家で、他人の意見や行為では絶対に揺らがない強い信念」をさらに強調させるような良いシーンだった。

ぶつ切りのカット

劇中を通して印象的だったのが、シーンの最後をかなり連続的にぶつ切りでカットしていたこと。(例えば、挿入歌が流れるシーンで「あーここ歌流れるところか」と思っていたら急に次のシーンに移行するなど)

最初は「見ていて若干気持ち悪いし、これ何の意味があるんだ?」と思っていたが、

① 単純に尺を巻きつつ
② ラストの「メンバーで『方位自身』を歌うシーン」との対比を最大化する

という意図があったのかもしれない。

今思えば、「出会い〜成功を掴みかけ、そこから決別してそれぞれの道を行くラスト」まで、駆け足ながらも確かに物語として綺麗にまとめられていて、これを上映時間わずか94分という短い尺の中でやり切ったのは素直にすごいと思う。

電車の演出

個人的に一番好きだったシーン。

上記の2回目の学校パートからの帰り道、駅のホームでADの古賀さんから電話があり、東西南北(仮)の曲がアルバム入りするのを告げられる。

周りには無気力にスマホをいじる会社員の男や、進路の話をさも他人事のように話す女子高生2人組、それらの人々はやってきた電車に乗っていってしまうが、東ゆうは電話口で古賀さんにお礼を言いながら深々とお辞儀をし、1人ホームに残った。

「ありがとう...ございました...」

多くの人が社会や周りの環境に決められたレール(=進学、就職、etc. )に沿って何となく終点まで運ばれていく中で、東ゆうは人生を左右する重要な決断をした。

アイドルの道を諦めず、夢を追いかけ続ける

王道ながらも、この作品を象徴するような素晴らしい演出だった。

(+αで、アイドルの入り口が最初に目を留めてくれた古賀さんなら、最後に(意図せずも)繋ぎとめてくれたのも古賀さんで、お互いの10年後にスタジオでハイタッチするシーンも含めて、最高のコンビだったと思う)

まとめ

思うままにごちゃごちゃと書いてしまったが、結論として見てよかったなと思える作品だった。

現時点(2024/7/28)で放送から2か月半以上経っているが、場所によってはまだまだ放映している劇場もあるようで、もう少しだけトラペジウムブームは続くかもしれない。

余談

他の作品も引き合いに出しつつ、余談。

  • 「東ゆう」、めっちゃフルネームで声に出して呼びたくなる名前で好き
  • ここ数年で見てきたアニメ映画の中で、視聴後の感覚が何となくているなと思ったのは「竜とそばかすの姫」だった。(良くも悪くも「何かよく分からんけど、考えさせられるな」的な感覚)
  • 初回視聴時、冒頭のシーンからラストに至るまで、東ゆうがずっと「井ノ上たきな」と誰かを足して2で割ったあとに、極限までブラックさを注ぎ込んだやつだなと思いながら見てたが、2回目以降よくよく見たらそんなに似てなかった
  • 東西南北(仮)が事務所に所属したあとくらいで「東ゆうと他メンバーとが数字(SNSでのコメント数やファンレターの数)によって比較されるシーン」があったのだが、同時期に放送されていた「ヨルクラ」でよく使われている手法と同じで、この手法について色々と考えていた自分にとってはとてもタイムリーな描写だった
    まったく違う期間で放送されていたら、「よくある演出」くらいでさらっと流してしまっていたに違いない
  • 劇中でがっつり館山城と里見茶屋が出てきたのは感動した
    数年前に行ったときは確か、同じく千葉(館山)が舞台の「シグルリ」のスタンドがギリギリ気づくか気づかないかくらいの超控えめな感じで置かれていたが、これからは華鳥蘭子の等身大パネルがでかでかと置かれるようになる...かもしれない
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